So-net無料ブログ作成
検索選択

2008.1.1 [sakana]

深々と降り積もる雪の中、微熱交じりの僕は白い大地に佇む彼女をぼんやりと眺めていた。

初日の出を見る為に山まで登ったのだが、生憎の雪で空はどんより雲っていた。

僕らが住んでいるところでは滅多に雪は降らないのだが、こんな日に限って降る。皮肉なもんだ。

始めは中々見れない雪でテンションも上がっていたものの、初日の出が見れなかった事ですっかり

テンションも温度計と同様に下がっていた。

普段ならば「まぁしょうがないか」とあっさり割り切れたのかもしれないが、彼女と初めて過ごす

一年の始まりの日だったのでどうしても特別にしたかった。

それからしばらく諦めずに待ってみたが一向に晴れる気配もなく、雪は映画のワンシーンのように

昏々とふり続ける。

仕方なく僕らは下山する事になり、足取り重くウネウネとした坂道を下りはじめた。

すると、緩やかなカーブをぬけたあたりにぽつんと二つ白い塊が寄り添い合ってているのが

見えた。

「雪ダルマ。」彼女が思わず声をあげる。

車を止め飛び出るように外に出た。

ドアを開けた瞬間ビューっと冷たい空気が白い結晶と共に車内に吹き込んでくる。

僕は冷凍庫の奥で何ヶ月も忘れ去られた牛肉のようにカチンコチンになった。

そんな僕をよそめに雪ダルマに無邪気に駆け寄る彼女。まるで宝物を見つけた少女のように。

二体の雪ダルマの前でゆっくりとこっちを振りむき、何も言わずに微笑みかける。

その姿がたまらなく愛おしく感じた。

真っ白な大地と透き通るような彼女の笑顔があまりにも綺麗で、僕の内面からホンワリと

温かいものが込み上げて凍った体がジンワリと溶け出してゆく。

ふと「願えばね、奇跡は起こるんだよ」と彼女が言っていたことを思い出した。

僕にとって今が奇跡だ。この情景が、彼女が僕の傍に今いるってことが奇跡だ。

だから彼女が言っていたことは本当だと思う。

彼女は、真実が少ないこの世界の数少ない2番目の真実。

2008回目の年明けの朝、数少ない真実と共にささやかだけど心に残る優しげな雪ダルマが

特別な一年の始まりを運んでくれたのだった。


nice!(5)  コメント(3) 
共通テーマ:恋愛・結婚

nice! 5

コメント 3

mistletoe

昨晩少しだけ雪がちらつき、今朝沢山雪が降りました。
通勤が大変だったり、外のお仕事の人の事を考えると
雪はやっかいもの。心配になります。
でも天を見上げるて降ってくる雪を見るのが好きです。
雪が好きです。
2つの雪だるまはとっても暖かな雪だるまに見えます。
by mistletoe (2008-01-23 23:54) 

いいなぁ~♡
読んでて素直にそう感じました。
mistletoeさんがおっしゃるように私も暖かな
雪だるまに見えます。
by (2008-01-26 15:47) 

boochin

mistletoeさん。。。
高校生の頃、雪が降った日の朝に凍った地面で滑っておもいっきり顔面からこけた事があります。めちゃめちゃ痛かったです。
でも、いつもよりもかなり低い位置から見た雪景色はなんだか綺麗でした。
こけたのは凄く恥ずかしかったけど、空から昏々と降ってくる雪を見るのもなかなか良いもんだと思いました。
その時の雪と同様、2つの雪ダルマも確かな暖かみを持っていたと思います。
既成概念は簡単に覆るものなんですね。
いつもコメントありがとうございます♪



reiさん。。。
ありがとうございます。素直にそう思えるreiさんも素敵だと思います。
僕にとって雪は神聖なイメージがあります。
深々と降る雪がクリスマスの夜に欠かせないものであるのは聖なる雰囲気を助長させる働きをもっているからだと思います。
そして、そういった時に人は冷たいというよりも暖かいイメージを持つ気がします。
この雪ダルマを見て暖かいと感じたら、それはきっと心に余裕があるからではないでしょうか。
いつもコメントありがとうございます♪
by boochin (2008-01-26 21:56) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。