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残り香 【3】 [月とクジラ]

高校生のころ、僕は数人の友達と出会い系サイトをやっていた。

ゲーム感覚で何人の女の子とやりとり出来るかというくだらない遊びだった。

しかし、不覚にも僕はそこで知り合った女の子に恋をしてしまう。

初めのうちは興味がなかったものの、毎日のようにメールでやりとりし、次第に電話まで

するようになると気分は高揚していった。

そして、知り合って数ヶ月が過ぎた頃その子から告白され恋心は一気に加速する。

バーチャルな出会いにしろ、初めて彼女ができた瞬間だった。

僕らはそれから一週間後に会う約束をした。その日までの一週間は毎日が輝いて見え、

嫌なこともそれほど苦にはならなかった。恐るべき恋のパワー。

そして、約束の日。彼女は現れなかった。


何時間も寒空の下で僕は待ち続けた。どれくらい待ったか覚えてないけど

携帯に1通のメールだけが届いた

「ごめん、やっぱ怖い。」

僕だってそれは同じだ。怖くて足ががくがくして止まらないんだ。

なのに・・・。

結局、彼女はそのメールを最後に一度として僕の前に現れることはなかった。


帰り道やけに車の雑音が耳に響いた。


滲んだ空が僕を包み込み全ての感覚が麻痺していく。


途方もない夕暮れ・・・。


怒りと悲しみで寂しさは何層にも重なり合い、もろくも崩れゆく。


実態なき恋はバーチャル世界からリアリティーを得ることなく消えていった。



その日を堺に、恋愛するのが苦になりマイナスな面でしか感情を捉えることが出来ずにいた。

どうせ・・・。

「俺は人を心から愛すことが出来ないのかもしれないな。」

以前親友にそんな言葉を漏らすと「馬鹿じゃねぇの。」とだけ言われた。

その軽く放たれた一言には何故か重みがあった。いろんな意味を含めた言葉だった。

ネガティブなことを言えば優しくしてもらえるとどこかで思っていた。

そうやって自分を客観的に見ることでカタルシスを得ていたかったんだ。

悲劇のヒロインはいつもそうやって他人の中で生きようとする。

それを一掃するように、アイツは「馬鹿か」と言った。

だけど、それでもまだ自分の恋愛に対する冷ややかな視線は簡単に消すことは出来ずにいた。
タグ:月 クジラ
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共通テーマ:恋愛・結婚

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otome

ひどいですねー、その女の子。 そういう人も少なくないらしいけど。
怖くて現れなくても仕方ないかもしれないけど、せめて「待たせる」前に連絡をして欲しいですよね。
その方がこなかったのはboochinさんのせいじゃないと思います。
ネットでの出会いは「めげない」ことが大切な気がします。
ぜひ次の素敵な女性との出会いを目指して、がんばってください!
by otome (2008-03-09 01:06) 

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